本研究の目的は、インド・カルナータカ州マンガルール郡における大規模な開発事業の進展とその影響について、ブータ祭祀と呼ばれる神霊祭祀に焦点を当てて検討し、開発と環境、宗教実践の関係を明らかにすることである。本研究では、開発事業に伴う環境破壊と住民の強制的移住、反開発運動の展開、工場内での宗教祭祀の復興について、土地や自然と密接に結びついたブータ祭祀を基軸として検討してきた。この研究を通して、反開発運動における宗教実践の重要な役割が明らかになった。また、工業プラントでの調査を通して、自然と人間の関係を回復する試みのひとつとして、プラント内部で神霊祭祀が新たに創造されていることが明らかになった。
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