研究課題/領域番号 |
26370956
|
研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
島村 一平 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (20390718)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | モンゴル / シャーマニズム / グローバル化 / 開発 / モラリティ / プライド / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
本研究は、グローバル化した政治経済的状況の下、競争社会を生きる現代モンゴルの人々の中からシャーマンや周囲の人々に焦点を当てて、個人の微細な体験を聞き取ることで、「社会問題化したシャーマニズムの背後にある文化・社会的状況を「プライド」をキーワードに読み解いていくことを目的としている。本研究は以下の2点において意義深い。 第一に国際的な研究競争の第一線に位置しているという点である。第二に本研究は、単に社会文脈から宗教現象を読み解くことに留まらず、人類普遍の不可視の文化的構築物である「プライド」が精霊という、やはり不可視の文化的構築物と近似的性格を持つのではないかという仮説をもっており、「プライド」という概念の一属性を解き明かす可能性を秘めている点で重要である。 2014年度は、モンゴル国ウランバードル市および鉱山都市における2度のフィールドワークを実施する予定であったが、スケジュールの都合上、一度に集約して9月に約2週間、モンゴル国でフィールドワークを行った。その調査結果を文献と照らし合わせながら、論文執筆を行った。 その結果、初年度ですでに研究成果が出ていることを特筆しておきたい。まず、以前からの調査と本年度の調査結果をまとめることで、2本の共編著(一冊は、ケンブリッジ大の研究者との共編の英語書籍)と2本の論文を発表した。また、学術会議での研究発表を4回(そのうち国際会議2回)にわたって行った。これらの成果は、本調査の結果が大きく反映されており、なおかつ国際的に発表しているという点において実りが多い年であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ある程度、事前調査をしていたということもあるが、すでに研究成果として共著書2冊、論文2本を出版することができたからである。共編著のうち一冊は、イギリスの研究者とともにケンブリッジで出版したものである。学術発表も4回行った。そのうち、2回は国際シンポジウムでの発表であった。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度はモンゴル国で調査をしたが、本年度以降は、中国内モンゴル、ロシアのモンゴル系集団において調査を行い、「感染するほど」増えているシャーマニズム現象の解明に取り組んでいきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度、モンゴルでのフィールドワークを2回行うことを予定していたが、他の科研の調査や成果発表のための学術会議の主催、発表などに忙殺され、1回になってしまった。
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度は海外調査を複数回行うことを予定している。次年度使用額は、その調査費用として当てられる予定である。
|