研究課題/領域番号 |
26370960
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
宮坂 敬造 東京福祉大学, 教育学部, 教授 (40135645)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 90 年代グローバリゼーション以降の文化精神医学 / 文化精神医学と文化医療人類学接続領域の展開 / 交錯的異 文化間接触事態 / 間文化的パフォーマンス / 配列比較法による深層構造の分析 / 文化観の交錯的刷新 |
研究実績の概要 |
初年度の平成26年度は、6月にカナダ・モントリオールに一週間出張し、マッギル大学多文化コンサルテーション・セミナーのある多文化間精神医学研究所のL.J.Kirmayer教授と面談討論、また、同研究所主催のシンポジウムに参加。A. Youngマッギル大学医療社会研究学科教授、モントリオール大学のG. Bibeau教授と本研究課題、すなわち90年代グローバリゼーション以降の文化精神医学と文化医療人類学接続領域の展開と文化観刷新グローバリゼーションに関わる関与問題について面談討論した。また、コンコ―ディア大学のD. Howes教授と80年代のモントリオールでの多文化間医療研究の研究会の雰囲気についてご自身のかかわりをふくめてインタヴューで聞き書き、また、関連して、ケベック大学名誉教授のMichelTousignant教授ともGiram研究集団について同様のインタヴューを行った。今回滞在期間が短いためモントリオールにおいては予備調査予定の半分くらいの達成度であった。 また、近年、<多文化間>ないし<超文化的>精神医学・医療人類学の用語の有効性が薄れ、むしろ単に<文化的>という用語をつけることに戻り、その後者の用語に多元交渉による動態的文化過程を含意させるべきだとするオランダの精神医学・医療人類学・臨床心理学の見解が注目される状況が生じてきた。そこで、2015年、これも1週間だけの短期的訪問であったが、オランダのアムステル大学を訪問し、J.Jong, S.van der Geest,S.Sinckel, R. Gerrets先生らに研究課題に関連する諸問題を討論し、一部の文献を収集した。国内では、北海道の浦河町を訪問し、べてるの家にかかわるスタッフと病院関係者に面談した。東京では、予備的インタヴューを3人の医療人類学者・精神科医に対して行った。 上記にかかわる文献の収集を随意行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
東京福祉大学着任初年度の2014年度は、前任校に比して様々な用務が多く、また、名古屋キャンパス、池袋キャンパス、伊勢崎キャンパスの三つのキャンパスで教育担当したので、移動距離も随分大きかった。また、授業延べ週も2週間多く、実習期間がある関係もあり夏期休暇が1ヶ月間少なかった。以上のような理由と着任1年目の見習い的状況で大学用務を軸に職務に励み適応する時間を要したこともあって、本研究にあてられる年間時間数もすくなく調査出張回数も予定よりかなりすくなくなってしまった。 本年度は、着任2年目であるので、用務の要領をつかみ、効果的に所属大学大学用務をこなすことを目指し、本研究にあたる時間数を昨年度よりも40%は増加させ、研究促進状況の改善を意図している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)本研究調査にあてる研究時間の不足の解消――上記に記したように、本研究にあてる研究時間の予定以上の不足、調査研究にあてる出張延べ期間を確保することが東福大着任1年目の状況変化への不慣れもあって目標の60%程度しかできなかった。本年は東福大着任2年目であるので、用務の要領をつかみ、効果的に所属大学大学用務をこなすことを目指し、本研究にあたる時間数を昨年度よりも40%は増加させ、研究促進状況の改善を意図している。 (2)当初調査地計画にオランダを加えて研究を継続する。オランダのアムステル大学J.Jong名誉教授(文化精神医学)や、Sjaak van der Geest名誉教授、Sanne Sinckel准教授、Rene Gerrets助教らに第2次のインタヴューをおこない、オランダにおける文化精神医学、医療人類学、文化人類学にかかわる文化観の刷新という課題を比較軸に加えて本研究を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新しい職場環境の変化(用務の多様化、講義週間数増加、夏季休暇期間が半減等で、科研費研究にあてえる物理的時間数が減少したことへの対応が不慣れで、当初予想より、新環境で用務をこなして慣れるのに長期間かかかってしまったこと)により、研究時間が不足し、予定よりも進行が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、夏季休暇1か月のうち、用務が発生する1週間をのぞき、3週間程度、オランダ、イギリスの研究機関を訪問し、予備調査インタヴューを行う。また、3月の春休みの期間に2週間の期間で、カナダのヴァンクーヴァーでの調査を行い、初年度の予備調査の欠損を埋める。
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