研究課題/領域番号 |
26370963
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
竹中 宏子 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (30376967)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ガリシア / 祭り / 農業 / 共同性 / 資源化 / 地域アイデンティティ |
研究実績の概要 |
本研究は、新しく始められた祭りに焦点を据え、主催者同士のつながりを明らかにしながら、静態的かつ閉鎖的と捉えられがちなスペイン・ガリシアの農村共同体の実態と変化を把握することを目的としている。 平成27年度には、アルバ村(Santiago de Alba)でフィールドワークを2回行った。1回目の調査は主に祭り”Son d’Aldea”とその準備期間に関する参与観察であり、準備期間には祭りのメインである移動劇の練習にも参加した。今回の祭りに関して、主催者に聞き取り調査も行った。2回目の調査では、アルバ村の近隣組織の沿革を聞き取り調査から把握し、住民にもインタヴューを行った。祭りの主催者たちともSon d’Aldeaに関してのみならず、彼らの生活や考えを理解するようインタヴューや会話を続けた。移動劇の脚本も一部入手した。また、同じような祭りを他の村で開催する会議(Son d’Aldeaの主催者との意見交換会)にも参加し、アルバ村から農村(あるいは「田舎」と呼ばれる地域)活性化の動きが広がりつつある現状を把握した。 フィールドワークの成果は研究会で発表し、貴重な意見やコメントをもらった。この研究発表に際して、これまでのプログラムと参与観察から分析した祭りの変化、アルバ村と近隣組織の沿革、当該地域における主催者の活動がもたらす影響に関して整理し、新たな考察の視点を見出した。もう一つの研究成果として、祭り主催者を含むアルバ村とその周辺地域の活性化に関して活動を行うアソシエーションや個人に関する論文を、『文化遺産の人類学』(臨川書店、来年度刊行予定)の1章として寄稿した。 また、当初の研究計画通り学際的に農村や共同体を考えるシンポジウムの構想を練り、来年度の開催に向けて、登壇予定者とコンタクトを取り始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査に関しては、祭りとその準備期間における参与観察およびアルバ村住民と近隣組織への聞き取り調査を行い、祭り主催者ともラポールを築いてきた。その成果は整理・考察されつつある。また、祭りそのものではないにせよ、当該地域の共同性に関する考察も論文としてまとめた。来年度開催予定のシンポジウムの内容を検討し、登壇者とも連絡をとりながら内容を練り、文献収集に関しても昨年度の遅れを取り戻しつつある。こうした状況を鑑み、当初の研究計画に沿っておおむね順調に研究が進展していると言えるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画の最終年度となる平成28年度は、未だ調査しきれていない部分を最終的な現地調査で補完し、それらを研究成果としてまとめ、分析・考察し、論文執筆・投稿する予定である。また、先に挙げた学際的なシンポジウムの開催を秋季~冬季に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度後期より所属機関から特別研究期間を許されたことから、現地調査を行う際の渡航費を請求する必要がなくなったことが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、特別研究期間終了後に行う現地調査の旅費とシンポジウム開催費用に補完的に使用することを計画している。
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