本研究は外部に対して極めて閉鎖的にみえるスペイン・ガリシアの農村共同体について、祭り「私は村の出身(Son d’Aldea)」と「外部」の視点をもつその主催者たちに着目しながら、彼らと既存の共同体との間につくられる共同性を考察したものである。人類学的な調査を通して、この祭りが経済効果を狙うだけのイベントとは異なり、「内」と「外」の直接的な接触と協力によって成る、開放的な祭りであることを捉えた。また主催者たちは、祭りの前後期間における一時的な住民であり、地域の象徴を創造する重要な意味を有していることを明らかにし、村と関係が薄い人々による新たな農村の共同性のあり方を考察した。
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