研究課題/領域番号 |
26370968
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
宋 基燦 立命館大学, 映像学部, 准教授 (60636091)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 在日コリアン / 在日朝鮮人 / 民族教育 / 朝鮮学校 / エスニシティ |
研究実績の概要 |
朝鮮学校は、日本最大の外国人学校組織であるにも関わらず、その特殊な政治的立場とそれに起因する閉鎖性のため、今まで研究者の接近がやや難しい領域だった。本研究は、朝鮮学校の教育の実態を理解し、それが日本社会に示唆する意味を長期的な面で明らかにするための人類学的研究として位置付けることができる。研究代表者は、13年前から朝鮮学校の現場研究を行っており、当時の調査に基づいた結果を朝鮮学校の民族誌として発表したことがある。本研究は、当時の研究に続く後続研究として、当時の学生たちのその後を追跡することにより、朝鮮学校の卒業生の日本社会における生活世界を理解することを目的としている。主な研究対象として、当時の生徒と教師、現在の朝鮮学校現場を設定している。 13年前の調査現場への参与観察は、本務校の業務の関係で、実現することが現実的に難しかったため、2016年からは、京都の朝鮮学校を中心に現場研究を進めている。その傍ら卒業生、特に韓国で活動している朝鮮学校卒業生の事例を中心的な事例として訪問インタビューなど、研究を進めてきた。なお、朝鮮学校が持っている政治的特殊性への理解を深め、それを研究に反映するべく、朝鮮大学や総連関係者との関係構築にも努めてきた。その結果、北朝鮮を取り巻く国際政治の環境変化が朝鮮学校へ及ぼす影響に関する理解を得ることができた。この理解は、今後の研究の展開と結果をまとめるにおいて非常に重要な部分になるであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本務校における業務の負担は依然大きいものの、ある程度慣れてきたところもある。ところが、研究対象の卒業生の中には、研究に協力できないという人も多く、調査は計画通りに進まない原因の一つにもなっている。その理由として考えられるのが、ヘイトスピーチなどが問題となっている現在の日本社会の雰囲気であり、在日コリアンの中には、自分の出自をあまり公にさらしたくないと考えている人が増えてきたようである。
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今後の研究の推進方策 |
本務校における業務とのバランスをとりながら、現場への参与観察の結果を整理し、また卒業生への調査は、サンプルの偏りはあるものの、積極的に自分の出自を表して活動をしている人々を中心にまとめていく作業に進めていき、報告書執筆へ向けていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が遅れることにより、期間延長申請を行ったために次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の整理に必要な追加調査、報告書作成の必要経費として使用する計画である。
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