本研究では、地域コミュニティの意思決定に基づく景観の保護と利用の可能性を追究した。具体的には、北海道東部と奄美群島に暮らす地域住民を対象として聞き取り調査を行い、現地の文化的景観をめぐる多様な知識と認識を調査した。これに加えて、それぞれの調査地でワークショップを開催し、情報提供者をはじめとする地域住民の方々との意見交換を試みた。 これらの調査の結果、地域住民の景観価値を考慮した上で、その保全のためにそれらを利用することの重要性を提示した。とりわけ、こうした視座は、ユネスコ世界遺産に代表される既存の景観の普遍的価値に対する代替案となり、また同時にそれを補足するもとのなることを指摘した。
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