研究課題/領域番号 |
26380004
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田巻 帝子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (80251784)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 性的マイノリティ / 社会的弱者 / 司法アクセス / 仲介者 / 複合的な要因 |
研究実績の概要 |
前年度に掲げた研究推進方策に則り、国内における「弱者家族」支援の実態調査を行うための基礎的な調査を行った。その準備として、英国における情報収集と、「(社会的に)脆弱であることvulnerable」「弱者vulnerable people」の概念に関する各種文献資料にあたり、法学・社会学の領域においてどのような論点があるかについて検討を行った。 年度の前半は第4回東アジア法社会学会議(2015年8月4日~6日)で研究報告を行うことに焦点を当て、本科研申請段階で協力を想定していた弁護士や、社会的包摂サポートセンター事務局長等に対し面談調査を行った。 同報告は「家族問題に関する司法へのアクセスにおいて『最も弱者となりうる』当事者は誰か」と題し、本科研テーマ調査の前段階としてどのような論点があるかを整理することを目的としたものである。具体的には、特に外観的には問題がなさそうに思われるが実際には様々な問題を抱えている人の一例として、いわゆる性的マイノリティとされる人々を取り上げ、こうした人々が問題を他者と共有したり相談したりすることが比較的に困難であること、また相談機関等の事例から「性的マイノリティ」という属性に加えて他の複合的な要因(例えば貧困や障がいなど)によって更に「弱者」となることについて指摘した。このような国際学会で報告することで他国の研究者や実務家と意見交換ができ、有意義であった。 年度の後半は上記を踏まえ、「性的マイノリティ」当事者の司法アクセスに関して特に相談に応じたり法的手段に繋いだりする仲介者の視点から実態調査をすることとし、法テラス東京事務所の弁護士や、青森市で当事者支援を行うNPOや青森市から委託を受けて相談業務を行う団体への聞き取り調査を行った。その結果、当事者の「可視化」問題と問題の性質が理解されにくいという問題が浮き彫りになり、調査継続の必要性を認識した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度からの遅れを取り戻すことができていないことに加え、年度を通して全体的に学内行政などで想定外に時間を要することがあり、また、研究の分担者・連携者となっている他の科研費研究テーマに関する用務とのエフォート管理がうまくいかず、結果的に当初予定していたような研究スケジュールを進めることができなかったからである。 具体的には比較研究の対象国(英国・カナダ)における海外調査を夏期や冬期の大学の長期休業期間に行うことを想定していたが、夏期は集中講義のコーディネーター役として数週間に亘る業務、冬期・春期は全学的な男女共同参画推進等にかかる業務で、それぞれ職場を離れることができず、海外調査を行うことができなかったのが一番の「遅れ」と言える。
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今後の研究の推進方策 |
本科研助成の最終年度であり、また初年度からの「遅れ」を取り戻す必要があるため、年間のスケジュール及び研究計画を慎重にたてなおすことから始める。 これまで同様に、単独で調査研究を行うことの時間的労力的な限界に加えて学内行政など研究以外の時間的な制約に照らし、実行可能な範囲でどれだけ調査研究を行うことができるかを考え、テーマを更に絞ることとする。具体的には、「弱者家族」の「弱者」として「性的マイノリティ」に属する(とされる)人々に焦点を絞り、中でも複合的な「弱者」要因を抱える人々の実態を、その人々に関わりうる各種支援団体(及び個人)への調査を通して把握することに努める。 上記の絞り込んだテーマについて、現実的に調査可能な範囲として国内の特定の地域(例えば研究代表者が居住する新潟や物理的にアクセスしやすい東京など)に限定した調査とし、早めに夏期の長期休業期間を利用した海外調査(英国となる予定)ならびに翌年の春期の休業期間を利用した海外調査(カナダとなる予定)について計画を立てて相手方と調整するなど、特に未実施の調を査するために現実的な方策を考えてスケジュールを組むことで、最終的なまとめにつなげる成果を確実に得られるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
達成度の欄で触れたように、当初2015年度中に予定していた比較研究対象国(英国・カナダ)における海外調査を実施することができず、その旅費等の経費が未使用であることが主たる理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
既に本年9月中旬~下旬に英国調査の日程を確保し、積み残しの海外調査を実施する計画を立て始めている。また、国内調査に関しても、昨年度末に実施した青森市の調査を参考にし、東京など物理的にアクセスしやすい地域に絞って集中的な調査を行うこととし、訪問調査で使用する経費とその他の経費について適切に配分して使用するよう予定である。
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