研究課題/領域番号 |
26380009
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
緒方 賢一 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (00380296)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 土地所有権 / 空洞化 / 農地 / 農業委員会 |
研究実績の概要 |
平成27年度は文献研究を中心に研究課題に取り組んだ。我が国における所有権および登記制度の成立過程について、立法資料を入手し、その分析を開始した。その結果、不動産登記法制定時の政府の目論見等について、一定程度理解を進めることができた。 また、宅地については司法書士等専門家からの意見聴取を行ない、農地については全国農業会議所および高知県、大阪府、大分県農業会議の職員等と協力して、農地基本台帳の整備状況について調査を行った。 上記の研究についての具体的成果は未発表であるが、平成26年度の研究成果を一部取り込んだ形で学術論文3編を公表した。「農地の転用・権利移動規制の現状と課題について」(農政調査時報574号)、「農業委員会制度改革の方向性」(農業法研究50号)、「農業委員会改革は農地法制をどこへ導くか」(農業と経済81巻9号)である。これらた3編は、いずれも2015年になされた農業委員会法・農地法改正に合わせ、法改正について見解を述べる形で発表したものであるが、本研究の検討対象である権利内実の空洞化、農地制度の運用方法の課題についても、調査結果等を踏まえて言及している。特に、農政調査時報掲載論文では、農地転用の規制方法が変更されても、制度の運用の鍵となる農業委員会の役割に大きな変化はなく、耕作放棄地対策と同様、農地制度の運用の根幹を支えるのは農業委員会組織であることを改めて示した。これにより、農地に関して、本研究課題を進めていく上での基本的な視角がさらに明確になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は研究のスタートとして現地調査の準備を行ったが、その過程で、歴史的経緯への理解や課題認識が十分に整理できていない段階でただ単に調査を行っても、得られる成果は少ないと思料されたので、平成27年度は土地所有権に関する国内の歴史的経緯および制度全体について、文献研究を進めることを優先した。 また、本研究課題を申請した後に、農地法が改正され、農地に関する所有権者等の情報については法定化された農地基本台帳上の情報が最重要となったが、台帳そのものの整備が終わって制度の運用がスタートする前に調査をしても、得られる知見は不十分であると判断し、本格的調査については平成28年度に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は研究最終年度に当たる。2年間の研究を踏まえ、課題全体について一定程度の「答え」を出す必要がある。2年間研究を進めてきた中で、農地については土地所有者情報の基本的部分が農地基本台帳の法定化によって改められ、研究対象が大きく変わった。宅地についても、空き家対策特別措置法の制定等により、法制度上の具体的対応策が実施されはじめており、課題として設定した状況そのものが変化した。状況の変化を逐一追って行くことは今年度も継続するが、所有権や登記制度の成立過程を明らかにすることを優先し、変化していく課題の出発点を正確に捉えることを研究の締めくくりの課題として、研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の研究において、現地調査よりも文献研究を優先したため、出張等にかかる旅費の支出が抑制された。また、調査にかかる謝金の支出について、調査対象者が受け取りを辞退したため支出がなかったことで、支出額が予定よりも少なかった。 一方、物品費については立法資料の購入費が当初予定よりも大幅に増加したため、予定額を超える支出となった。全体としては予定額を下回り、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の重点が、現地調査に基づく具体的対応策の確立から問題の根本の解明へとシフトしているので、物品費についてさらに支出することが必要である。その財源には人件費・謝金を充てることとする。専門家等、謝金支出を予定していた調査対象者が謝金の受け取りを辞退する場合が生じており、人件費・謝金の支出は抑制される見通しであり、全体とては支給額をすべて使い切る予定である。
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