知見を要約すれば,1)裁判官は裁判員発言について一定の発言整序を行う志向がある.2)評議における法と常識との相互作用がある.3)裁判員と裁判官との間には談話上の非対称的な関係がある.相互行為のデザインに着目することで負の非対称性を緩和することが可能である.4)評議相互行為における順番交替に注目することで裁判員の意見表明しやすさについて体系的なメカニズムを解明できる.5)日常会話との比較における評議会話の相互行為上の諸特徴を特定できる.6)評議における常識的知識を援用する実践的推論の方法と法的帰結との関連性がある.7)裁判員は法廷で諸情報を常識的推論により物語的に構成すること,である.
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