憲法裁判所が違憲審査を行なう欧州では、議会と憲法裁判所との関係だけではなく、憲法裁と最高裁、憲法裁と欧州人権裁判所など多様な〈応答〉関係が生まれ、それらをつうじて憲法秩序が形作られている。この関係は通常は判決をめぐって表現されるが、ロシア・東欧諸国のように歴史の浅い違憲審査制のもとでは、判決をめぐる緊張関係が転じて、制度(権限や人事)そのものの改変がもたらされる場合がある。近年では、2010年以降のハンガリー、2015年以降のポーランドにおいて、議会多数派の意思を絶対視する政治的思考のもとで、違憲審査制の意義そのものを極小化する傾向が、体制転換から四半世紀を経て改めて登場するに至っている。
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