今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、「判決の理由・根拠」に関する基礎的データおよび「訴訟両当事者の主張内容」に関する基礎的データを補充する作業を進めていきたい。 その上で、具体的な検討課題としては、①裁判所による認可を受けた和与をめぐり再び紛争が生じた場合において、一方当事者から主張されることが想定され得る「下知違背之咎」に関して、両当事者の「主張内容」および「証拠」を具体的な文言に即して検討を試みる。②さらには、「御成敗式目」第三十五条の規定する「召文違背之咎」に関して、「召文違背」の事実を主張する一方当事者に対して、反対当事者がどのような反論を行っているのかについて、①におけるのと同様の観点から具体的な検討を試みていく。このことと同時に、③日本中世法制史、ひいては日本法制史の研究全体における判例法的研究の可能性を探っていくための手掛かりを得ていきたいと考えている。かような関心の一部について、研究代表者は幸いにも「「日本法」の素顔はいかにすればみることが出来るのか? NISHIMURA Yasuhiro, Doshisha University 」と題する研究報告(通訳は立教大学法学部の溜箭将之教授)を行う機会に恵まれた(Professor David Ibbetson,Professor KASAI Yasunori主催の「日英における法の移植の問題に関する国際研究会議」Clare Hall, University of Cambridge、28th,August,2014)。
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