研究課題/領域番号 |
26380024
|
研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
崔 鍾植 神戸学院大学, 法学部, 研究員 (20380652)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 日本の改正刑法仮案 / 韓国による改正刑法仮案の継受 / 日韓刑事法の比較 |
研究実績の概要 |
1.平成26年度は、研究の目的と計画及び方法に従って、「研究の基盤整備と理論検討のための基礎的情報収集と整理」に重点を置いた研究活動を行った。具体的には、主に日本の改正刑法仮案の作成についての歴史的背景や経緯、その内容と特徴および評価についての再照明のための調査・文献資料の収集・整理を行った。 2. 関連資料及び情報収集のために、日本司法福祉学会第15回大会(大阪)、刑法学会第92回大会(京都)、裁判員裁判のための対人援助専門職ネットワーク第7回研究会(東京、東京少年法研究会第414回(東京)、韓国の司法と日本の司法「韓国の国民参与裁判の現状と展望」シンポジウム(東京)、日韓少年非行防止政策学術交流大会第8回(韓国ソウル)に参加する等の研究活動を行った。 3.一部の研究成果の発表:平成26年度当初の研究計画ではないが、韓国関連の司法改革の一部について論文を投稿する機会に与えられて以下の英語の論文を発表することができた。 韓国は1953年刑法が制定して以来2007年まで、一般市民が裁判官や陪審員として参加したことがない。それは、日本の改正刑法仮案と刑訴法をモデルとした当然の結果かもしれないが、司法改革の一環として2008年から「国民参与刑事裁判」制度を運用している。この制度は、韓国において最近もっとも目立った刑事司法制度の改革である。この制度についての現状と課題について分析し、英語論文として投稿し掲載した(Korean Citizen Participation in Criminal Trials: The Present Situation and Problems」『International Journal of Law, Crime and Justice』Vol.42,No.2、June 2014、pp.83-102)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究計画と方法としては、日本において改正刑法仮案が作成された当時の歴史的背景と経緯およびその意義と内容について再検討することであった。詳しくは、終戦前の日本の帝国主義・軍国主義憲法下という厳しい状況が改正刑法仮案の作成にどのような影響を及ぼし、どのような経緯を辿ったのか、また、その内容にはどのような特徴があるのか、仮案の意義に対して日本の学者はどのように評価しているのかについて再照明するために、関連文献資料を収集し整理を行うことであった。本年度は、この研究計画と方法に従っておおむね順調に研究活動を行ったが、その文献資料の収集や検討が一部遅れることによって、結果をまとめ論文として公表するところまでは至らなかったので、自己点検としては、当初の計画に照らしてみればやや遅れていると評価することができる。ただ、前後は変わっているとうは言え、韓国における大きな司法改革の一つである「国民参与刑事裁判」制度の現状と課題について英語で論文を書く機会に恵まれ発表することができた点については、大きな意義があると評価したい。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年の研究計画と方法は、主に韓国において、日本の改正刑法仮案をモデルとした歴史的背景や刑法制定当時の経緯および具体的継受の内容と範囲、その運用の状況についての比較調査を行うことでる。また、その具体的方法としては、韓国のソウルと日本の東京をそれぞれ2回ずつ訪問し、文献資料を収集してこちらの文献に対する分析・整理を行う予定である。 平成27年度は、平成26年度の研究成果をふまえつつながら、平成27年度の研究計画と方法に付け加え、平成26年度の研究計画であった日本側の調査としてやり切れなかった部分に対する補充的な研究活動も続けて行う予定である。また、その研究成果については、日韓の研究会や学会で報告すると同時に、論文として公表できるように励むと同時に、研究成果をより効果的に一般に知らせるためhomepageを制作する方法を推進する。 本研究課題の3年目の平成28年度には、平成26年度と27年度の研究成果をまとめて本として出版し、最終的に日韓両国における刑法改正の望ましい方向や展望について具体的な方策を提示する予定にある。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の研究計画として、文献資料の収集のための東京出張を3回計画したが、これが1回に止まったことによる繰越しである。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成26年度から繰越された残額については、平成27年度に研究成果をより効果的に一般に知らせるためにhomepageの制作を推進する予定にあるが、その費用に付け加えて使用する計画である。
|