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2017 年度 実績報告書

取引関係に起因する危険の制御と私法秩序

研究課題

研究課題/領域番号 26380026
研究機関筑波大学

研究代表者

日野 辰哉  筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (90431428)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード裁量統制 / 考慮事項 / 警察規制 / 市場競争 / 事後チェック型行政
研究実績の概要

本研究は,事前規制型行政から事後チェック型行政へと変容した規制システムの下で,消費者問題に対処すべき行われる規制介入を客観的に評価することができる公法理論の構築を目的としたものである.そこで,市場競争システムの活用をいち早く進めていたEUとその構成国における公法理論の展開が如何なるものであったのかを調査することにした.
EU構成国の一つ,フランスでは,2000年代に入ると,警察介入措置が,事業活動,すなわち,生産・流通・サービス提供に影響を与えることに留意し,当該措置に係る裁量権行使に当たり,市場競争への影響を必要的考慮事項とした一種の比例性審査(選択裁量を規律)を導入する判例が登場していることが確認された.一連の判例は,規制介入が,規制対象となる事業活動の制限を正当化し得るか否かとの関係で,関連市場に対する負の影響の最小限化を志向するものであったといえる.換言すれば,関連市場に対する負の影響が不可避なものである場合には,行政活動が達成しようとする公益が,そうした影響を正当化し得るものなのか否かが問われているといえる.
日本の公法学は,規制改革の意義または市場競争の補完物としての行政という位置づけについて,「保障国家論」や「保障行政論」などのドイツ公法学の知見を背景としながら,その負の側面への対抗の法理論に注意が向けられる傾向がある.これ自体は正当な議論であると思われる.しかし,その積極的な側面にも目を向けることが,今起きている現象の意義を適切に把握することに寄与するはずであり,本研究はそうした意味を少なからず有するものと思われる.
今後は,事前規制型行政から事後チェック型行政への転換が,公法理論上の基礎概念にもたらす意義についての基礎的な研究を更に進めるべく,隣接する社会科学の知見との協働をも見据える予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 都市計画と裁量審査2017

    • 著者名/発表者名
      日野辰哉
    • 雑誌名

      行政判例百選Ⅰ 第7版

      巻: 1 ページ: 152-153

  • [学会発表] 東京地判平成27年7月17日判時2322号35頁「公売公告処分取消請求事件」2018

    • 著者名/発表者名
      日野辰哉
    • 学会等名
      第57回早稲田行政法研究会

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公開日: 2018-12-17  

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