先進国における規制緩和・民営化の進展を受けて,行政法における私法規範の浸透が,これまでに見みられない形態を取っている.例えば,EU構成国の一つであるフランスでは,EU(旧EC)における競争法の進展を受けて,行政法の変容が明らかとなっている.即ち,「支配的地位の濫用」が,競争法と無縁と考えられていた警察法の領域において,比例原則の一環として取り込まれ,行政裁量に対する統制密度を高めている.かように,規制緩和・民営化の進展は,既存の行政法に対して大きなインパクトを与える「経済公法」という独自の法領域を出現させるに至っている.
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