本研究においては、欧州連合、米国及びNAFTA加盟国、アジアとくに日本、シンガポールなどの間の租税関係(tax relation)について、税源配賦の観点から検討を加えた。米国と欧州は、古くはDISC(米国連邦内国歳入法上の輸出促進税制)とGATTルールの抵触について紛争を経験し、一方、欧州連合加盟国では、欧州基本条約上の基本権や国家補助金禁止原則と加盟国国内租税法との抵触関係が欧州司法裁判所で争われてきた。 本研究では、国際租税回避防止ルールが、実は、一国の税収確保のための重要な手段となっていることを、ここ5年余りの欧米の対立構造、OECDのBEPSプロジェクトの文脈で明らかにした。
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