研究課題/領域番号 |
26380034
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村西 良太 大阪大学, 高等司法研究科, 准教授 (10452806)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 行政立法 / 唯一の立法機関 / 法規命令 |
研究実績の概要 |
日本国憲法は国会を「唯一の立法機関」と位置づけているが(41条)、殊に専門技術的性格の強い政策領域においては、法律形式での国会の立法は困難を極める。あるいは、専門技術性はそれほど高くなくとも、諸事情の変化に即応すべき決定事項は無数に存在し、そうした迅速な政策決定の必要を満たすためにも、法律の規律は大綱的事項に留めて、細目規律を行政に委任する手法(委任立法)が多用されてきた。こうした現実と日本国憲法41条との緊張関係は理論的にどのように解決されるべきか。この古くて新しい問題を、ドイツの公法学説との比較の中で解明することが、本研究の一次的なねらいである。 平成27年度は、日本の従来の学説に対する批判的な検討を進め、その成果を「憲法と行政立法―日本国憲法下における行政に固有の立法権の可能性について」と題して公刊した。日本の憲法学説はこれまで、いわゆる独立命令(先行法律の委任に基づかない政省令)を違憲と断じてきた。しかしながら、その論拠は必ずしも説得的に示されてこなかったように見受けられる。通説の論証構造がけっして独立命令の否定を導き出せていないことを明らかにしつつ、「唯一の立法機関」たる国会と行政立法との関係を新たな視点から考察しようと試みたのが、このたびの拙稿である。 夏休みには予定どおり、ベルリン・フンボルト大学法学部を訪問し、図書館での資料収集をおこなった。また、クリスティアン・ヴァルトホフ教授(法学部長)やクリストフ・メラース教授へのインタビューも行った。平成27年度中にドイツでのこうした成果の分析も進めたが、論文としての公刊には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ドイツにおける学説・判例の分析に予定以上の時間を費やしているため。
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今後の研究の推進方策 |
行政立法をめぐるドイツの学説分析をなるべく早く完了させて、詳細な論文を公表したい。そのうえで、環境法などの個別法分野に焦点を絞って、本研究の完成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた書籍の刊行が翌年度以降に延期されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
当該書籍の刊行が確認されしだい、予定どおり購入する。
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