日本国憲法は国会を「唯一の立法機関」と位置づける一方(41条)、内閣に「政令」を制定する権限を与えている(73条6号)。国会の定める「法律」と行政機関の定める「命令(政令はその一種)」との関係について、従来の憲法学説は、先行法律を前提としない命令(独立命令)の禁止を強調してきた。しかしながら、そのような結論へ至る理論構成は、必ずしも説得的ではなかった。また、法律が命令の制定を委任する場合のその委任規定に対する明確性の要求についても、従来の憲法学説は、具体性を欠いていた。ドイツの判例・学説との比較を通じて、そうした理論的欠落を埋めることが、本研究の目的であり、成果でもある。
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