研究課題/領域番号 |
26380035
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
興津 征雄 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (10403213)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | グローバル行政法 / Global Governance / Accountability / Globalization / Global Law / Administrative Law |
研究実績の概要 |
初年度である平成26年度は,グローバル行政法を規律する法原理としてのアカウンタビリティに焦点を当てて研究を行った。すなわち,米国におけるグローバル行政法の主唱者は,国際的な行政機関においてもアカウンタビリティが確保されるべきであると論じているが,(1)そもそもここでいうアカウンタビリティとは何を意味するかが概念的に明らかではない(日本語で「説明責任」と訳した場合でも同様である),(2)国内行政機関におけるアカウンタビリティは,実は民主制や司法審査制の存在を前提にして初めて実効的に機能することができるが,民主制や司法審査制が存在しないグローバル社会においてアカウンタビリティが機能するための条件が明らかにされていない,などの問題を抱えている。こうした問題について,平成25年度中に公表していた興津征雄「グローバル行政法とアカウンタビリティ」(社会科学研究65巻2号)を基礎としつつ,それをさらに発展させる研究を行った。 具体的には,日本における行政法のグローバル化に関する研究の先駆者であり第一人者である原田大樹教授の著書『公共制度設計の基礎理論』の書評において,原田理論を批判的に検討するとともに,グローバル法研究における国家の意義について論じた。これは,「グローバル行政法研究の理論的課題」と題する日本語報告の内容を反映させたものである。また,グローバル行政法におけるアカウンタビリティに関する英語報告を2回行った。そのほか,司法審査制に関連して行政訴訟に関する仏語論文を執筆するとともに,環境規制におけるガバナンスの意義を論じた仏語論文を翻訳した。 なお,平成26年8月より平成27年7月まで,グローバル行政法研究の世界的な拠点であるニューヨーク大学法科大学院において在外研究に従事しており,以上の研究の遂行に当たって大きな知的刺激を受けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に示したとおり,当初の研究目的・研究実施計画に従って順調に研究を遂行し,研究成果を公にすることができたから。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,研究実施計画に従って研究を進める。今のところ,研究計画の変更の必要や研究遂行上の大きな課題は生じていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは,前倒し支払請求をしたためである。前倒し支払請求をした理由は,平成26年度上半期において在外研究の関係もあり大きな支出が発生し,さらなる研究経費が必要になると判断したためであるが,結局下半期においてはそれほどの支出が発生しなかったため,結果として前倒し支払請求をした分がほぼそのまま次年度使用額として残ってしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究自体は予定通り順調に進捗しており,平成27年度も研究目的・研究実施計画に沿って研究を進めることにより,次年度使用額について適正な使用ができると考えている。
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