| 研究実績の概要 |
本研究課題は，租税法と財政法の協働により，将来世代に過度の負担を強いることなく，危機対応の財源確保の新たな法的枠組みを探求することを最終目的としている。
平成30年度は，平成29年度までの作業（第1段階の事実解明的分析，第2段階の規範的分析，第3段階の世代間リスク分配の分析，第4段階の法制度パッケージの探求）を踏まえつつ，研究計画策定時に予期しなかった国内及び国外の主要な税制改正（米国の大規模税制改正であるTax Cuts and Jobs Actなど）を中心に，研究目的をより精緻に達成し，研究成果の国際的評価を高めるべく追加的な調査・分析を遂行するとともに，これまでの研究成果を国内及び国外において公表した。
平成30年度の具体的な研究成果として，（1）神山弘行「森林環境税（仮称）と租税法律主義に関する覚書」地方税69巻4号2-9頁（2018年），（2）神山弘行「Cost of livingに応じたタックス・ブラケットの調整」トラスト未来フォーラム研究叢書『金融取引と課税（５）』 145-168頁（2018年），（3）神山弘行「研究開発と税制―模倣の促進からイノベーションの促進へ」租税法研究46号1-21頁（2018年）を公刊した。さらに研究成果の一部を(4)The 9th IMF-Japan High-Level Tax Conference for Asian Countriesにおいて，Hiroyuki Kohyama, "International Aspects of the U.S. Tax Reform and the New Tax Games" (2018年4月)として口頭報告するとともに，(5)Hiroyuki Kohyama "A New Japanese Lump-sum Tax on Individuals and Its Constitutionality: Regional Cost-of-Living Adjustment"と題する英語論文を執筆し，これを米国Harvard Law School, East Asian Legal Studies Program, Japanese Law Conference（2018年9月）において口頭報告した。
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