本研究は、日中両国における情報公開制度に対する行政法学的比較研究を通して、中国における情報公開制度の整備状況及び最新動向を日本に全面的に紹介するとともに、中国の情報公開制度が形成していく上で日本法からの「移植」の可能性及び逆に鋭意改革中の中国のやり方が今後日本の情報公開制度の更なる整備に対する示唆の有無を探ることを目的としている。 上記のような目的の下で、2年目の平成27年度において、調査と資料収集を続けながら、資料解読と理論分析を中心に研究を行った。 中国では、大胆な改革措置は、まず改革開放政策のテストモデルに指定された経済特区等が先駆けとなり、経験を積んでから全国に広げていくというようなケースがよくあるため、大連市人大などへ赴き、地方立法機関へのインタビューなどを実施した。また、資料収集のため、大連市公文書館、遼寧省図書館、瀋陽市及び大連外大、遼寧師範大などの研究機関をも訪れてきた。 資料の解読と分析については、主に二つの方向から着手している。まず、時を軸に、①情報公開制度の揺籃期(1980年代)、②情報公開制度の草創期(1990年代)、③情報公開制度の発展期(2000年以降)との三つの時代に分けて調査結果や収集した資料の整理・分析を行っている。次に、国を軸に、日中両国における本研究テーマに関連する著書、論文、判例等文献の整理・分析を行うことに努めている。これから、上記の作業を踏まえつつ、両国における行政法学の今後をも展望したい。
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