研究課題/領域番号 |
26380043
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
上拂 耕生 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (40405569)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 行政訴訟 / 比較法研究 / 司法審査 / 地域研究(中国) / 公法学 / 行政救済法 / 権利保障 / 中国法研究 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、4月14日・16日の熊本地震の影響で研究室も被害が生じ、復旧に要する時間、研究資料が散在したこと、震災関連の業務が増えたことなどにより、あまり進捗させることができなかったのが現状である。そのため、研究期間の延長を申請した。 しかし、当初の計画通りに研究が進まなかったとはいえ、その後研究体制を再整理して、また中国の災害対策法務(行政法関連)も考慮に入れて研究を進めることにして、一定の進捗を示すことができた。すなわち、2014年に改正された中国の行政訴訟法の中で、①行政に対する司法的統制の強化、②行政裁判による公民の権利救済の拡大、③行政裁判における異邦の独立の確保、という3点について、研究資料の熟読・整理はある程度できたと考えられる。 具体的な成果としては、(1)第12回日中公法学シンポジウム(琉球大学)に参加し、コメンテーターを務めるとともに、中国の公法学者と意見交換し、示唆に富む情報を入手することができた。研究成果として、(2)「地名の無秩序な変更に対する行政法ガバナンスの方法」(章志遠・研究報告論文の翻訳)、(3)「中国の災害法制について‐突発事件対応法と自然災害救助条令‐」『アドミニストレーション』第23巻第1号77~90頁がある。 熊本地震の影響から研究期間を1年延長をいただいたので、平成29年度は『日中行政法の共通的理論・制度の構築に関する研究』のまとめとして、上記①~③の点を中心に考察を深化させていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年4月14日(前震)と16日未明(本震)に発生した熊本地震により、私の研究室も大きな被害を受けてしまった。①その復旧にしばらく時間を要したこと、②中国行政法および行政訴訟関連の資料が散在してしまったこと、③震災関連の業務が増え、その対応に追われたことなどにより、研究課題『日中行政法の共通的理論・制度の構築に関する研究』に専心できなかったことが最大の原因である。 しかし、その後は状況を安定化し、現在は研究を継続できる状態ないし体制にある。研究にやや遅れを生じたしまったが、平成29年度は6月に鄭州大学で開催される「第13回日中公法学シンポジウム」に招待頂き、研究報告も行う予定である。必要な資料も収集でき、また中国人行政法研究との意見交換・交流を通して、研究のまとめを行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年6月17・18日に開催される「第13回日中公法学シンポジウム(鄭州大学)」に参加し、研究報告を通して意見交換を図るとともに、必要な研究文献・資料を補足的に収集したい。研究資料の読み込みや整理・分析はいまのところ順調に行っている。したがって、11月に公刊される紀要『アドミニストレーション』に、行政に対する司法的統制の強化の点から研究論文を1つ投稿して発表するとともに、さらに来年2月に公刊される同じく『アドミニストレーション』で研究論文を投稿・発表する予定である。 研究期間を延長して頂いたので、『日中行政法の共通的理論・制度の構築に関する研究』の仕上げをしっかりと行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な理由は以下のとおりである。 ①熊本地震の被害影響で、折角収集した研究資料が散在するなどにより、研究期間を延長せざるをえなかったため。 ②2016年8月に中国広州市を訪問したが、別の予算で支払われたので、科研費から支出する必要性がなくなったため。また、第12回日中公法学シンポジウム(琉球大学)においても、旅費・宿泊費を支給されたので、科研費から支出する必要性がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
残額が約10万円ほどだが、6月に開催される日中公法学シンポジウム(中国・鄭州大学)への旅費に使用する予定である。なお、中国国内での宿泊費および移動費が中国側の大学が負担することになっているので、日本からの中国までの旅費のみの支出となる。
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