本研究は、日本国憲法の人権条項において「人間の尊厳」を体系的に導入することにより、新たな解釈を目指すものである。そこではまず前提として、多様な人間の共通性を表象する「人間像」について、その有効性と限界を示し、また各人の特定の属性に基づく権利は、人権自体ではなくその基礎となる固有の権利と位置付けるべきことを示した。そしてその様な共通性に基づく「人間の尊厳」については、近年有力なその相対化の主張について、これを法的に正当化することを否定し、あくまでその「絶対性」を維持したまま日本国憲法に導入すべきであることを明らかにし、それによる人権条項の新たな具体的解釈を提示した。
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