研究課題/領域番号 |
26380048
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
西山 由美 明治学院大学, 経済学部, 教授 (20296221)
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研究分担者 |
柴 由花 常葉大学, 法学部, 准教授 (20383193)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | フェアネス / デジタル化社会 / BEPS / 恒久的施設(PE) / 移転価格 / 消費税/付加価値税 / ビットコイン |
研究実績の概要 |
当初計画に沿い、EU域内の研究者との連携による下記セミナーを開催した。これらのセミナーには、大学院生を含む若手研究者にも報告者及び開催者として参加してもらうことを通して、EU域内の若手研究者との交流をはかることもできた。 ① Sigrid Hemels教授(オランダ・エラスムス大学)とのセミナー開催(2014年11月17日10:30-13:00、明治学院大学にて)・・・研究分担者・柴由花との共催で、2015年1月開催のウィーン経済大学との共同セミナーの準備として、 “Fairness and Taxation in a globalised world”をテーマとするセミナーを開催した。 ② Michael Lang教授(オーストリア・ウィーン経済大学)チームと日本の研究者による共同セミナー開催(2015年1月15日10:00~18:00、明治学院大学にて)・・・研究分担者・柴由花との共催で、 "Fair Share of Tax Burdens of Highly Digitalised Transactions"をテーマとするセミナーを開催した。参加者は、ウィーン側5名、日本側17名(報告者4名、発題者9名、学生3名、主催者2名)で、司会は渡辺徹也教授(早稲田大学)が担当した。4つのテーマ( BEPS issues in a digital economy/ The PE-Concept in the light of BEPS/ Transfer Pricing/ VAT System)について報告と討議を行った。 ③ 上記②の共同セミナーの翌日1月16日、ウィーン側報告者4名と主催者で、前日のセミナーの論点整理と報告書作成のための準備会合を開催し、2015年夏を目途に、セミナー報告書(ディスカッション・ペーパー)を刊行するための手順を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
① 当初の予定通り、Lang教授(ウィーン経済大学)及び4名の若手研究者を招聘して、共同セミナーを開催することができた。 ② 上記共同セミナーは、ウィーン側4名及び日本側3名の若手研究者が報告を担当し、これに実務家の特別講演が加わり、中堅世代の研究者が質疑応答をリードする形式をとることにより、率直かつ活発な意見交換を実現できたことに加え、両国の若手研究者同士の交流の機会をもつこともできた。 ③ 上記共同セミナーに先立ち、「フェアネス」の概念の理解を深めるために、Hemels教授(エラスムス大学)とのセミナーを開催することができた。 ④ これまでのEU域内の租税法研究が英独仏中心であったが、中堅国であるオーストリアやオランダの研究者との交流を通して、EU域内の租税政策への理解を深化させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の第二年目は、当初計画どおり、2015年1月15日開催の共同セミナーの報告書の刊行及び国際租税法の最新の議論を把握するために、研究協力者である古賀敬作氏をスイス・バーゼルで開催されるIFAの会合に報告者として派遣することである。 ①共同セミナーの報告書刊行・・・2015年5月1日現在で、共同セミナー報告者の7割の原稿が入稿されているため、2015年6月末までにはすべての原稿を集約し、2015年8月までには報告書を刊行する予定である。使用言語は英語とし、発行部数は100部で、租税法研究者及び関係省庁・組織に配布する予定である。 ②International Fiscal Association(IFA)への報告者派遣…2015年8月30日から9月4日にスイス・バーゼルで開催されるIFAの会議に、上記共同セミナーの報告者であり、研究協力者である古賀敬作氏(大阪経済大学講師)を会議報告者として派遣する予定である。この会議は、世界中の租税法研究者と実務家が参加する国際会議であり、最新の情報を入手することが期待できる。研究代表者・西山と研究分担者・柴は、国内業務のためにこの期間は日本を離れられないため、古賀氏を派遣することとした。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、ウィーン側参加者と日本側報告者・主催者で小さなセミナーを開催する予定であったが、「デジタル化社会における課税の在り方」「多国籍企業の課税逃れ」「ビットコイン課税」といったリアルタイムなテーマを掲げたことにより、参加者も大幅に増え、そのための交通費や開催費用がかさむに至った。また、多忙なLang教授の日程に合わせた総勢5名の入国・帰国であったため、使用航空会社やスケジュールを限定をせざるを得ず、結果、次年度予算を使用せざるをえなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度分助成金(直接経費60万円)から、上記次年度使用額(177,450円)を差し引いた金額で、セミナー報告書刊行(予算22万円)及びIFA会議への研究協力者派遣(予算20万円)を実施する予定である。
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