アメリカ合衆国の違憲審査において用いられる厳格審査という手法の歴史的形成過程を検証するため、歴史的・社会的環境の変化を重視しつつ、かつ合衆国最高裁内部の判決形成過程に関する一次資料も対象とした研究を行った。1960年代前半に表現の自由領域で登場したこの手法が60年代中葉以降、信教の自由、平等保護といった他の領域にも波及したこと、60年代後半の歴史的・社会的環境の変化に呼応して、最高裁も公民権運動の保護から後退姿勢を見せることとなったが、そうした姿勢が70年代の表現内容規制・内容中立規制二分論の形成につながったことを明らかにした。
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