研究課題/領域番号 |
26380054
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
福嶋 敏明 神戸学院大学, 法学部, 准教授 (80461010)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 憲法 / 信教の自由 / アメリカ合衆国憲法 |
研究実績の概要 |
本年度も、前年度に引き続き、「信仰行為二分論」に対する植民地・憲法起草時代における信教の自由論の影響(課題(1))、及び、連邦最高裁における「信仰行為二分論」の形成過程(課題(2))を解明する作業を並行して行った。前者については、「信仰行為二分論」の重要な歴史的源泉の1つである1802年のダンベリ・バプティスト書簡を中心に、トマス・ジェファソンの信教の自由論の意義を検討する作業を引き続き行った。その際、特に同書簡における「教会と国家との間の分離の壁」という比喩と「信仰行為二分論」との関連性の検討、ジェームズ・マディソンの信教の自由論との比較検討などの視点を加味しながら、作業を進めていった。後者については、特に1878年のReynolds v. United Statesに対する再評価の可能性を検討する作業を行った。「信仰行為二分論」の萌芽的思考を示した本判決については、伝統的に、信仰を理由とする一般法適用免除の可能性を否定する解釈を示したものと捉える理解が根強かったが、近時、連邦最高裁判決の個別意見や学術論文においてこうした伝統的理解の再考を迫る見解が示されており、こうした見解の妥当性について検証する作業を進めた。 本年度の研究実績について特筆すべきこととして、所属研究機関の長期海外研究員制度を利用して、2016年9月よりヴァージニア大学ロースクールにおいて客員研究員として在外研究を行う機会を得たことがあげられる。同大学はジェファソンが設立した大学であるため、同大学の図書館にはジェファソンに関する資料が多く所蔵されており、その中には日本で収集が困難なものも少なくない。こうした資料を用いることができたことは、特に課題(1)に関する作業のより一層の充実につながった。また、2016年8月に本研究の内容について研究会において報告する機会を得たことも本年度の成果としてあげられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、本研究の内容について研究会において報告の機会を得たことや、在外研究先であるヴァージニア大学に所蔵されている資料を用いて研究を行うことができたことなど、本研究を大幅に進展させることができた一方、同大学に所蔵されている資料の分析がなお中途段階にあることもあり、その成果を研究論文という形で公表するには至らなかったため、上記の評価とする。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では本年度が本研究の補助事業の最終年度であったが、2016年9月よりヴァージニア大学ロースクールにおいて在外研究を行う機会を得ることができ、これは交付申請時には予定していなかったことであったため、補助事業期間の延長を申請したところ、1年間の補助事業の期間延長が認められた。 来年度も引き続きヴァージニア大学ロースクールにおいて在外研究に従事できる予定であるため、同大学に所蔵されている資料も用いながら研究を進めていくと共に、本研究の最終的な取りまとめ作業を行い、少なくともその一部について研究論文という形での公表につなげることができるようにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部図書の購入に遅れが生じたため
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次年度使用額の使用計画 |
図書の購入を中心に使用する
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