研究課題/領域番号 |
26380061
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐野 寛 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (40135281)
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研究分担者 |
青木 清 南山大学, 法学部, 教授 (80159277)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国籍 / 国籍法 / 国際私法 / 血統主義 / 重国籍防止 |
研究実績の概要 |
本研究は、血統主義や重国籍の防止などのわが国国籍法の基礎となっている国籍の取得・喪失に関する基本原理について、各国法との比較による理論研究、聞き取り調査に基づく実証研究、現行国籍法に対する立法論的検討の3つの観点から、分析、検討を行うものである。 研究の初年度である今年度は、国籍の取得・喪失に関する基本原理に関して、基礎的な情報の収集と関連文献および資料の収集を行うとともに、海外における実態調査を進める上で必要な海外研究者との研究協力の体制を構築することを目指して、基礎的な作業を行った。 具体的には、研究代表者の佐野は、国籍法および国籍問題に関する内外の基本的な文献、資料を収集するとともに、2014年9月に開催された国際法学会第117年次大会において、国籍を連結点とする国際私法上の本国法主義について報告し、学会参加者との質疑を通して、連結点としての国籍の現代的意義に関して多くの知見を得ることができた。また、研究分担者の青木は、現在、本務校から韓国で在外研究を許されていることを活用し、韓国における国籍問題につき資料および情報の収集を行うとともに、韓国研究者の研究協力に道筋をつけることができた。 また、連携研究者の伊藤は、インド、パキスタン、インドネシアなどのアジア諸国の家族法について精力的に研究を進め、また、それら諸国での現地調査を行い、現地の研究者からの協力を得る体制を整えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように、国籍の取得・喪失に関する基本原理に関して、基本文献、資料等の収集を行うとともに、アジア諸国の実態を調査するため、海外研究者の協力体制を構築するという本研究の初年度の目標はおおむね達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、まず、初年度に構築した研究協力体制を利用し、韓国において現地の研究者と研究会を開催し、さらにタイ、フィリピンなどのアジア諸国の研究者とも意見交換をすることにより、それらの国における国籍法の課題を知るとともに、それらの国に属する者との関係における日本国籍の取得、喪失の実態を把握する。 平成28年度は、インド、ベトナムで調査を行い、それまでの理論分析および実態調査の結果に基づいて、日本の現行国籍法の基礎となっている国籍の取得・喪失原理を再検討し、その課題を明らかにする。 以上の研究成果は、国内の関連する学会または研究会で報告し、その内容は研究論文等の形で公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年3月に韓国研究者と韓国において研究会を開催する予定であったが、先方の都合で研究会の開催が困難となったため、研究会の開催を平成27年度に実施することとし、その開催に要する費用を次年度に繰り越すことにしたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越額については、平成27年6月に開催予定の韓国での研究会の開催に必要な旅費、通訳費用に支出する計画である。
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