本研究は、罪刑法定主義の要請に焦点を当て、それが理論上・実行上どのように管轄権行使を制約するのかを検証することを目的とした。 研究の主な成果として、第1に、罪刑法定主義の要請は、管轄権行使を制約する要因として働きうる。またそうした罪刑法定主義の要請を受け、国家実行においては、国内立法や執行過程において予見可能性を確保するための一定の要件や手続きを設けていることも確認した。第2に、一部の条約において国内法制の統一が図られていることは、第一義的には司法協力を容易にする機能を果たすものであるが、同時に、法の内容や法廷地に関する予見可能性を確保する機能をも果たしうることを確認した。
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