研究課題/領域番号 |
26380065
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
阿部 達也 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (80511972)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 国際法 / 国際機構法 / 国連 / 化学兵器禁止機関 / 化学兵器禁止条約 / チャレンジ査察 / シリア |
研究実績の概要 |
国際機関相互の協働関係について、化学兵器禁止機関(OPCW)と国際連合を議論の素材として引き続き研究を行っている。 研究のために不可欠な資料を広く国内・国外で収集するとともに、研究会や会議等に出席して研究者および実務家と意見交換を行った。 研究の成果として、論文“Challenge Inspections under the Chemical Weapons Convention: between ideal and reality”の執筆に取り組んだ。具体的には、化学兵器禁止条約に規定されるチャレンジ査察制度に関して、まず、画期的な制度と評されながら条約が発効した1997年以来なぜ一度も要請されていなのかについて、条約の起草過程、条約成立後の議論、条約発効後の動向を分析し、法的・政治的・その他の理由があることを明らかにした。次に、シリアの化学兵器問題の文脈においてOPCWと国連が連携し協働する形でチャレンジ査察制度に代替しうる複数の手続が導入され実施されていることを取り上げて、これらの手続がチャレンジ査察制度にどのような影響を与えるかを考察した。議論を踏まえて、チャレンジ査察制度は将来において要請される可能性は低いものの、理論上の利用可能性は残されており、そのことによって一定の程度で不遵守の抑止に貢献しているとの結論を提示した。 今後の研究の方向性としては、本年11月に化学兵器禁止条約第4回運用検討会議が開催されることから、同会議の結果に留意しつつ、とくにシリアの化学兵器問題を中心に研究をまとめてゆきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果の一部を論文の形式で発表できたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題について、引き続き文献・資料の収集、OPCW執行理事会・運用検討会議への出席、研究者・実務家との意見交換などを通じて研究をまとめてゆくこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 学内業務の関係で予定していた国外出張を短縮したため。 (使用計画) 国外出張の日程を増やし当該計画を実現させる。
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