本研究は「日本国際法学史に関する史学史的考察」を目的とするが、現時点までの成果は、戦前戦中における日本国際法学史研究の形成過程の解明に限られる。日本国際法学史に関する通史的叙述が最初に試みられたのは第二次世界大戦のさ中であって、1943年に信夫淳平と横田喜三郎が相前後して発表した2つの論文を嚆矢とするが、これら2つの論文は国際法学史の基本的な捉え方を異にするだけでなく、1920年代から1930年代にかけて吉野作造や大平善梧が唱えた国際法受容論についても対照的な姿勢を示している。このことを踏まえて、特に国際法受容論と国際法学史の通史的叙述の関係に注意しつつ、日本国際法学史研究の展開を跡づけた。
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