研究課題/領域番号 |
26380073
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
西 平等 関西大学, 法学部, 教授 (60323656)
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研究分担者 |
齋藤 民徒 金城学院大学, 国際情報学部, 教授 (10401019)
川副 令 佐野短期大学, 総合キャリア教育学科, 准教授(移行) (40292809)
伊藤 一頼 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 准教授 (00405143)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際法 / 国際政治思想 / 法思想史 / 紛争の平和的解決 / モーゲンソー |
研究実績の概要 |
戦間期の国際法理論において最重要の意義を持っていた「紛争の性質」論を中心に、これまで正当に理解されてこなかった当時の学説を意味を再評価した。 戦間期の国際法学においては、法の限界が強く意識され、それが、法の適用によってすべての紛争を解決する可能性をめぐる理論的な争いとして表現されていた。法の適用による紛争解決の限界を指摘する主張は、国際法学の内部において有力に主張されており、その代表的理論家の一人がモーゲンソーであった。 本研究では、モーゲンソーの動態的紛争論・政治的紛争論を、一方で、アドルフ・ラッソンやエーリッヒ・カウフマンらの観念論者の系譜のうえに把握し、他方で、イェリネックやトリーペル、ハンス・ケルゼンらの実証主義者たちの理論と対照することにより、その歴史的・理論的文脈のなかで明らかにした。 そのことを通じて、国際法学に関して言えば、「戦争違法化」や「実証主義対自然法論」という視角にとらわれた従来の学説史研究によっては理解されてこなかった戦間期国際法理論の一側面を明らかにしたといえる。また国際政治学に関して言えば、従来は、戦間期の国際秩序思想・国際法思想をリーガリズム(法万能主義)とみなし、それを否定することによって国際政治学が生まれたと理解されているのに対し、本研究によって、むしろ、戦間期国際法学の内部において発展せられた法の限界論のなかから、国際政治学的思考が形成されたということが明らかにされた。 最終年度には、本研究の意義を外部の研究者に問うためのワークショップを開催し、高い評価と生産的な助言を得た。
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