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2016 年度 実績報告書

高齢者医療をめぐる法政策の視座 -アメリカにみる高齢者の尊厳と配分的正義

研究課題

研究課題/領域番号 26380076
研究機関横浜国立大学

研究代表者

関 ふ佐子  横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (30344526)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード社会保障法 / 高齢者法 / アメリカ法 / 分配的正義 / 医療 / 世代間公正
研究実績の概要

医療費の嵩む高齢者医療の財源の多くは、若・中年者が税や保険料という形で負担している。所得の再分配を行う社会保障制度においては、支える側と支えられる側の世代間の公正を保つことが、社会保障制度の持続可能性につながろう。例えば、75歳以上の高齢者は、それ以外の年代の4.5倍の医療費を使用しており、世代間の対立構造が生まれやすい状況にある。こうした状況において、社会保障関係費を抑制する医療制度改革が先行した場合、高齢者のニーズが疎かにされ、高齢者の自律や尊厳が侵害されかねない。他方で、特定の世代の負担が急増しないような配慮も必要である。
この点、アメリカでは、高齢者の医療費を削減する策として、ACO(Accountable Care Organization)やメディカルホーム(かかりつけ医的な医療機関)がオバマケアにおいて推進されている。こうしたオバマケアについて、平成28年5月に日本医師会とともにアメリカのワシントンとニューヨークを視察した。日本医師会の視察に同行することにより、単独ではアポ取りの難しいアメリカの政府機関であるCMS(Centers for Medicare and Medicaid Services)への訪問などが実現した。アメリカにおいても、高額化しつつある医療費が課題となっており、いかにして高騰する医療費を管理しつつ医療の質を向上させるかが模索され、その結果としてACOといった仕組みが発展してきているという実態を調査することができた。ACOの具体的な仕組み、とりわけ医療の質も同時に向上させようという試みは日本においても参考となろう。
さらに、研究の最終年度として、高齢者医療をめぐる世代間公正の問題について考察を深めた。高齢者医療をめぐる配分的正義の課題について、救済原理(Rescue Principle)、効用、高齢者の「功績」の観点から分析した。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] アメリカにおける医療の質と費用の管理 -ACOの工夫2017

    • 著者名/発表者名
      関ふ佐子
    • 雑誌名

      ダイナミックに変化するアメリカ医療 -オバマケアの成果とトランプ後の行方- (日本医師会・民間病院アメリカ医療・福祉調査団)

      巻: 0 ページ: 44-57

  • [雑誌論文] 高齢者の所得保障 : 公的年金制度の現状と課題2017

    • 著者名/発表者名
      関ふ佐子
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 89(3) ページ: 46-53

  • [雑誌論文] 私の診療経験から : 無理をしない認知症との付き合い方 -- 認知症をめぐる医学と法学の連携 --2017

    • 著者名/発表者名
      関ふ佐子=鈴木ゆめ
    • 雑誌名

      臨牀と研究

      巻: 98(2) ページ: 113-118

  • [雑誌論文] 公務員の年金と雇用2017

    • 著者名/発表者名
      関ふ佐子
    • 雑誌名

      連合会だよりPAL

      巻: 28年度特集号 ページ: 1-47

  • [雑誌論文] 法人の代表者と被保険者資格2016

    • 著者名/発表者名
      関ふ佐子
    • 雑誌名

      社会保障法判例百選 [第5版]

      巻: 227 ページ: 26

  • [学会発表] 高齢者特有の法的課題2017

    • 著者名/発表者名
      関ふ佐子
    • 学会等名
      第16回高齢者法研究会
    • 発表場所
      横浜国立大学
    • 年月日
      2017-02-24 – 2017-02-24
  • [学会発表] 高齢者法にみる高齢者特有の法的課題2016

    • 著者名/発表者名
      関ふ佐子
    • 学会等名
      秋山塾
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2016-12-14 – 2016-12-14
  • [学会発表] ミニシンポジウム②「引退過程世代の特徴と課題」2016

    • 著者名/発表者名
      関ふ佐子
    • 学会等名
      日本社会保障法学会第70回秋季大会
    • 発表場所
      神奈川大学
    • 年月日
      2016-10-15 – 2016-10-15
  • [図書] 家族と高齢社会の法2017

    • 著者名/発表者名
      関ふ佐子=川島志保
    • 総ページ数
      232
    • 出版者
      放送大学教育振興会

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公開日: 2018-01-16  

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