研究課題/領域番号 |
26380079
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
細谷 越史 香川大学, 法務研究科, 准教授 (60368389)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 勤務成績不良 / 非違行為 / 解雇 |
研究実績の概要 |
本研究は、労働者の勤務成績不良や非違行為等を理由とする解雇等のサンクションをいかに規制すべきかという課題について、主としてドイツ法の検討を踏まえて解明することを目的とする。 今年度においては、まず、解雇法に新たな論点をくわえたブルームバーグ・エル・ピー事件・東京高判平成25年4月24日を素材として、勤務成績不良を理由とする解雇に関する従来の判例と学説に検討をくわえ、解雇法理を再構築すべき方向性を考察した内容を関西労働法研究会4月例会で報告した(その内容は香川法学34巻3・4号に公表済みである)。 また、ドイツ解雇法や損害賠償法の研究のため、ゲッティンゲン大学を訪問し、資料収集や聞き取り調査を実施した。そこで得られた知見を参考にして、”Entwicklung und Perspektiven im japanischen Kuendigungsrecht bei schlechter oder minderer Leistung”をZeitschrift fuer Japanisches Recht Nr. 41に投稿した。また、同じくドイツでの研究をふまえて、リューディガー・クラウゼ「金銭・物品の不足等の損害に関する労働者の責任-成果と展望-」を翻訳して、香川法学35巻4号に発表した。 さらに、労働者の非違行為の一種である競業行為や秘密の漏洩に対するサンクションのあり方を検討した内容を「労働者の秘密保持義務と競業避止義務の要件・効果に関する一考察」日本労働研究雑誌663号に公表することができた。 くわえて、「労働法上の権利行使を理由とする不利益取扱いの禁止について」と題して関西労働法研究会3月例会で報告し、その内容を次年度に公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ドイツ解雇法の研究それ自体は順調に進められているが、その内容の公表がやや遅れているように思われる。その理由としては、研究計画段階では予想していなかった論文等の執筆依頼があったことやドイツでの研究滞在を機にドイツ語による研究発表を優先的に行ってきたことなどをあげることができる。
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今後の研究の推進方策 |
勤務成績不良や非違行為等を理由とする解雇に関する日独の比較法研究を引き続き発展させる。また、前年度に解明し得なかった論点や新たに検討すべき論点を解明すべく、ドイツでの研究滞在を行い、研究者らと意見交換を行う。さらに、その研究成果を日独の両雑誌に発表する。くわえて、労務給付の低下と密接に関連する疾病や障害等を理由とする解雇に研究の射程範囲を拡大する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ドイツでの研究滞在中の宿泊費用が関係者の配慮によりほとんど不必要となったこと、あるいは、研究の進み具合により、主に独文資料の選定・購入が少し遅れていることなどを挙げることができる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、計画通り、とくに独文資料の選定・購入を早い段階で行い、研究の前提条件を整えるとともに、ドイツでの研究滞在を経るなどして、本研究を加速させ、有意義な成果をもって締めくくることとする。
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