本研究は、日本の労働者の勤務成績不良や非違行為による解雇に対する規制手法を、ドイツ法と比較しながら、法的明確性や安定性を高める方向で解明することができた。 非違行為による解雇については、ドイツの比例原則と予測原則を解明し、そこから論理的にいかなるルールが導出されるのかを研究した。かかる研究を踏まえ、日本の解雇法理の規範論理性を高める方向で再構成するための重要な指針を考究することができた。 勤務成績不良による解雇については、労働義務の性格(主観説か客観説か)を考察し、ドイツ判例の具体的な審査基準を分析した。かかる研究から示唆を得て、日本の解雇法理を再構成すべき解釈論のあり方を解明するに至った。
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