1. 年度当初から、研究発表①~③の執筆のための作業を開始した。この連載論文は、2017年3月の土地総合研究所『縮退の時代における都市計画制度に関する研究会報告書』中で概要を記した研究報告を起点として、「縮退の時代における農地と農村地域空間の管理のあり方」に関する本研究者の見解を―「農地管理」制度の沿革と現状を踏まえ、かつ、今後の課題を見通しながら―まとまった形で提示することを意図したものである。現在第3回目までを書き終えたが、①これまでの農地制度の中核に置かれていた「農地管理」の意義・内容の特徴と限界、②とくにその「農地管理」に遊休農地対策や相続未登記・所有者不明化農地対策を一律に包摂しようとすることの無理と限界、③農地中間管理機構の創設は図らずもそのことをより鮮明にしたこと、④その「農地管理」からはみ出る農地の取扱い方如何の問題などを、実証的に確認することができた。また、⑤その分析作業の中では、フランスの場合との対比を行うことにより、日本の「農地管理」制度の特質も描き出せたと考える。 2.今後予定の続稿では、以上の考察の上で、これからの縮退の時代において、⑥上の②~④の問題と農村地域空間管理の課題とをいかに接合させ、かつ、⑦それを都市サイドからの地域空間管理の課題とどのように繋ぎ合せていくかを検討する。そのためには、⑧「農地並びに農村地域空間の管理」が有する「新しい公共性」を確認するとともに、⑨「農地制度の複層化」だけでなく、「農地並びに農村地域空間の管理」の「水平的な広がりと質的な区分・多様性」を考慮した、制度と政策の新しい仕組みを構想する必要がある。これは、本研究を通じて得た新しい視点である。 3.9月にパリに赴き、従前の調査をフォローする聞取り調査を実施した。その成果は、研究発表②に盛り込んだほか、農水省農林水産政策研究所等で行った研究報告にも反映させた。
|