2009年の農地制度改正は、戦後の農地制度に大きな歴史的転換を画した。その上に立って2014年に創出された農地中間管理事業は、農地貸借の第3のルート(中間管理機構を介する転貸借)を開設して、生産性の高い担い手への農地利用の集積と一般企業の農業参入促進を目指したが、期待されたほどの成果は上がっていない。他方で、農業従事者の高齢化、農村の過疎化、耕作放棄地の増加は止まらず、相続未登記・所有者不明化農地問題も深刻化している。人口減少・縮退社会への移行が進む下で、経済効率優先の農業政策と農地政策のあり方を見直し、農村地域空間の維持管理をも視野に入れた農地制度を再構築することが求められている。
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