本研究では、フランスの同化主義とシンガポールの多文化主義を比較検討し、外国人受入政策のあり方について研究を行った。その結果、両国がそれぞれの政策を採ったのは、歴史的沿革や国の成立ちによるものであることが明らかとなった。日本は、そのいずれでもなく、自由な政策決定をできる状況にある。 多文化主義か同化主義かのメルクマールとして重要なのは、言語である。日本の場合には、日本語以外の言語を公的に認めるかどうかがポイントとなる。さらに、同化主義を採る場合には、何をもって社会を統合する共通の価値とするかが問題になり、日本の場合には、日本国憲法の理念や価値が基本となるべきであろう。
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