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2017 年度 実績報告書

法人処罰における刑法、手続法および制裁法上の問題点-ドイツ判例実務の研究

研究課題

研究課題/領域番号 26380087
研究機関青山学院大学

研究代表者

岡上 雅美  青山学院大学, 法務研究科, 教授 (00233304)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード法人処罰 / (刑事)責任 / 法人に対する制裁 / 自己負罪拒否特権
研究実績の概要

最終年度の研究遂行にあたり、実体法的側面における成果を確認した。本研究の新発見として、法人の刑事責任の問題は、とりもなおさず、ある犯罪現象を、ある特定の法人に「客観的に帰属」させることを意味するということである。すなわち、どのような要件が備わったときに、その事象を「法人」のせいにできるかが問題になる。この点、従来の通説は、もっぱら法人実在説および現行法としての法人処罰規定を、法人の刑事責任を肯定する根拠にしてきたが、それは如何にも不十分であった。確かに、社会において法人は存在するし、実際に法人は活動している。その意味で法人実在説の事実的前提は否定しえないが、しかしながら、本研究において着目したのは、「法人が実在すること」は、「法人を自然人と同等の権利義務の主体とすること」は、直結しないということであり、法人実在をもって論証できることにはおのずから限界があるということである。例えば、憲法では、法人は基本的人権の享有主体になれるかという論点の元、基本的には、基本的人権は個人に認められるものと解されている。他方、民法上は、法人に行為能力が認められ、例えば、契約の当事者になったり、所有権等の物権を享有しうることは当然のことと考えられている。すなわち、他の法領域においては、法人の責任については法人実在説を持ち出して、それが論拠にされているわけではないにもかかわらず、刑法ではそれ以上の議論に進展していないところが、大きな特徴であり、法人の刑事責任を語る上で大きな障害となっているのである。本研究では、法人の刑事責任については、むしろ憲法上の権利主体の議論が、刑法上の根拠づけに応用可能であるように思われた。すなわち、客観的帰属論の用語でいえば、自律性原理による帰属関係の否定である。
次に、法人の刑事手続上の権利関係についての検討を行った。自己負罪拒否特権に関する考察が中心である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 図書 (2件)

  • [図書] 日髙義博先生古稀祝賀記念論文集(印刷中)2018

    • 著者名/発表者名
      井田良ほか
    • 総ページ数
      発行予定
    • 出版者
      成文堂
  • [図書] 山中敬一先生古稀祝賀記念論文集(下)2017

    • 著者名/発表者名
      井田良, 川口浩一, 葛原力三, 塩見淳, 山口厚, 山名京子 編集委員
    • 総ページ数
      724
    • 出版者
      成文堂

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公開日: 2018-12-17  

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