研究成果は、刑法、刑事訴訟法、制裁法の各側面に分かれる。 実体法上の成果としては、通説による法人処罰の正当化根拠は不十分であり、本研究では、法人の刑事責任の問題が、本来的には、ある犯罪現象を当該法人のせいであると帰することができるか否か、すなわち、客観的帰属の問題であると位置づけ、さらに、法人には帰属の前提である自律性原理に欠けていることを明らかにした。したがって、制裁上の帰結としても、法人に対する「刑罰」は、理論的に成り立ちえない。 さらに、法人が刑事手続の主体になりうるかの問題について、とくに自己負罪拒否特権など、刑事被告人の権利が法人については、十分に保障されえないことを明らかにした。
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