刑罰・保安処分の二元主義が採られている国においては、保安処分論に対する理念的批判は現在それほど強くない。しかしながら、とりわけ、保安監置や移動型電子監視といった、個別の保安処分に対する批判は根強く主張され続けている。さらには、保安処分を運用するにあたって、ハード面及びソフト面での資源の不十分さが至るところで露呈している点も指摘されうる。 日本への導入可能性については、現段階では時期尚早の感が否めないが、保安処分は、各国でテロ対策としての活用といった新たな局面を迎えつつあり、この動向も注視していく必要がある。いずれにしても、全面的導入か完全否定かではなく、対象者類型ごとの検討が不可欠である。
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