研究課題/領域番号 |
26380093
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
豊崎 七絵 九州大学, 法学研究院, 教授 (50282091)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 情況証拠 / 事実認定 / 間接証拠 / 間接事実 / 総合評価 |
研究実績の概要 |
本年度は、情況証拠による事実認定が焦点となった刑事事件(3件)について、それぞれの弁護人にインタビュー調査を行った。これらの事件では、間接事実の推認力以前の問題、すなわち間接証拠の信用性が中心的な争点となっている。すなわち、間接証拠たる供述証拠の場合には、その信用性について、また間接証拠たる物証の場合には、その真正性について、それぞれ、裁判で争われたということである。 そもそも間接証拠に信用性がない場合、その証拠によって直接証明されると主張された間接事実も、実際には、合理的疑いを容れないほどに証明されないこととなり、そのような間接事実の推認力は、そもそも総合評価に参加する資格がないというべきである。 間接証拠の信用性評価については、一般に、それぞれの供述ないし物証に関する問題であって、狭義の証明力や推認力の問題とは区別される問題として、講学上、扱われてきた。もっとも実際の事例をみると、たとえば供述者が複数いる場合、それぞれの供述の信用性評価について、本来その供述に信用性があると評価されてはじめて、その証明の可否が問題となるはずの事実関係が、供述の信用性評価に用いられることがある(複数の者が或る事実の存在を供述しているから、それらの供述には信用性があるといった評価)。 このような証拠評価の手法は、合理的疑いを容れない程に証明されていない個々の間接事実を総合評価に参加させ、総合評価の結果として、間接事実は合理的疑いをいれない程に証明されたとする手法と、同様の手法であるといえよう。本年度の研究においては、いずれの手法も誤りの危険が高いということを、具体的事件を参照しながら、検討した。研究の成果については、来年度以降、論文のかたちで、公表したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究計画に照らし、おおむね順調に進展している。ただし比較法的研究ならびに関連分野の知見に関する検討について更に進める必要がある。また研究成果としての論文も引き続き公表する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は比較法的研究ならびに関連分野の知見に関する検討を更に進める。また研究の成果としての論文を公表したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
家庭の事情(子育て)で出張ができなかったことがあり、その分、次年度使用額が生じた。
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