今年度は、研究課題に関して昨年来行ってきたわが国とドイツの文献の収集・整理作業を継続し、まず、夏に、昨年に続いてドゥトゥゲ教授をゲッティンゲン大学にたずねて、同教授より当該問題についての意見を伺った。現地研究者との意見交換では、ドゥトゥゲ研究室の協力のもと、研究テーマに関して有意義な示唆を得ることができた。このドイツ滞在中、9月8日(金)には、ヴュルツブルク大学・ヒルゲンドルフ教授の招きにより、同大学にて開催されたシンポジウムにおいて、本研究課題に言及しつつ「日本における治療中止と臨死介助」をテーマとした報告を行った。ドイツへの出張・滞在については、研究の仕上げの活動を行うべく、本年3月にもおいても同様に実施している。 一方、国内においては、11月27日(日)に、ドイツより上記ヴュルツブルク大学・ヒルゲンドルフ教授、ボン大学よりベーゼ教授を迎えて、中央大学日本比較法研究所の共同研究グループ「生命倫理と法」の研究会の場において、本比較法研究所において「日独生命倫理比較法シンポジウム」を開催して日本側研究者とともに公開研究・討論を行い、続いて12月17日(日)には、日本比較法研究所学術シンポジウムプロジェクトの活動の一環として、「法化社会のグローバル化と倫理的実務的対応」において報告を行った。上記の活動をおこおなう間、これと平行して、論文を中心として、本研究課題に関連して得た成果の外部への発表を行った。いずれにおいても本研究課題について比較法的な見地から検討を行ったものであり、具体的には、各種論文集への寄稿(3本)、翻訳稿の監訳(1本)などである。さらに、現在、本研究課題にかかって論稿を執筆中である。 以上、特にドイツの状況の参考にしつつ、わが国の高齢者患者における承諾の問題について検討・考察を加え、今後の同問題研究の進展に資する成果を世に問うたものである。
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