本研究では,違法な法益侵害に複数の主体が関与している場合における差止請求に関する一般法理,すなわち,その相手方・発生要件・効果に関する基本的枠組みを解明すべく,理論的・原理的考察を行った。 具体的には,上記差止請求が行われる3つの主要な紛争類型(①所有権侵害・インミッシオン,②著作権侵害・名誉毀損・プライバシー侵害,③競争秩序違反行為)ごとに,それぞれにおける当該請求の特徴を分析し,それらを比較することで前記一般法理の析出を試みた。 その際には,これまで日本において十分に顧みられることのなかった上記各紛争類型に関するドイツの判例・学説について検討し,日本法への示唆を得るように努めた。
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