本研究は、わが国の証券規制の分野ではまだ検討が進んでいない行動経済学の知見を応用した証券規制の方法について分析を試みたものである。 証券法の趣旨が、業者が個人投資家の弱点を突くかたちで違法・不当な投資勧誘を行うことを禁じることにより個人投資家を保護しようとするものであるならば 、投資家の弱点である心理バイアスの問題にも証券規制は目を向け、個人投資家の保護を図るべきである。 行動経済学の知見を証券規制に応用することは、認知バイアスに影響された問題性のある自己決定から、投資家自身を保護する点で意義を有する。
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