研究課題/領域番号 |
26380110
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中東 正文 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00237372)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 代表訴訟 / 文書提出命令 / 証拠収集 |
研究実績の概要 |
本研究課題の研究を遂行するために、基礎的な情報収集、分析などを継続した。 これまでの検討の結果については、Sean McGinty名古屋大学大学院法学研究科特任講師(当時)とともに、国際的なワークショップにおいて(ソウル大学、ブツェリウスロースクール、名古屋大学に所属する研究者を中心とするもの)、「Derivative Action and Measures to Collect Evidences in the Civil Procedure」と題する報告を共同で行った。Sean McGinty特任講師は、カナダの法学部を卒業し法曹資格を有しており、ワークショップの報告においても、日本とカナダとの比較法的検討を行った。参加者から貴重な意見などをいただいた。 上記ワークショップでも議論がなされたように、裁判における証拠についての各国の考え方の違いを意識する必要があることを確認した。すなわち、英米法の諸国では、裁判手続において、当事者は自分に有利か否かを問わずに、証拠を法廷に提出し合って、弁論に臨み、裁判所が判断を示すという発想で証拠が扱われている。他方で、日本では、当事者は自分に有利な証拠は自分で収拾して裁判所に提出することが基本的な発想とされており、相手方から自分に不利な証拠の収集するためには、民事訴訟法、会社法などで法定された申立権や請求権を活用することが予定されている。 このような発想の違いを前提としつつ、主たる比較法の対象国を変更することも含めて、比較法的考察を進める必要があることが理解された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記のワークショップで頂戴した意見等は有益であり、それは研究が相当に進捗したが故にであるとは考えている。 もっとも、研究成果の公表については、本務校の校務に追われたため、十分にまとまった時間を取ることができずに、僅かに留まった。
|
今後の研究の推進方策 |
若干の遅れを取り戻しつつ、当初の計画に沿って、研究を進める予定である。 なお、期せずして、研究課題が次回の会社法改正のテーマの1つとして検討されている。現在は商事法務研究会で開催されている会社法研究会で議論が進められているところ、研究代表者も委員であるため、その場においても、他の委員等から知見を得るとともに、研究成果を発信していく予定である。 この改正の議論の行方によっては、当初の計画を柔軟に変更していくことが、研究課題の目的を達する上で重要になる可能性があると考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
カナダでの調査に代えて、ソウルでの国際ワークショップに参加したため、海外旅費が少額に抑えられたなどのためである。
|
次年度使用額の使用計画 |
カナダが最適であるかは、国際ワークショップでの議論を踏まえると見直しの余地があるが、異なる法域の研究者と討議する機会を設ける。
|