研究課題/領域番号 |
26380115
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
久保田 安彦 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (30298096)
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研究分担者 |
尾崎 安央 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (30139498)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 継続開示義務 / 全部取得条項付種類株式 |
研究実績の概要 |
平成26年度においては,金融商品取引法24条1項3号(以下,単に「3号」という)の潜脱行為に対し,どのような解釈論による対応が可能かの検討を行った。すなわち,現在の一般的な解釈では,会社が公募発行をした証券を消滅させれば,その時点で3号に基づく継続開示義務は消滅するとされる。しかし,このような解釈のもとでは,たとえば,株式の公募発行を行い,3号に基づく継続開示義務を負った会社が,全部取得条項付種類株式を用いて,株主から株式(公募発行した株式)を取得して消却し,代わりに実質的には同一の内容だが別種類の株式を交付する場合には,たとえ法定の免除事由を満たすほど株主数が少数(25名未満や300名未満)にならない場合でも,会社は3号に基づく継続開示義務を免れることになるが,こうした帰結は,3号の潜脱を許すのに等しいように思われる。そこで,このような問題への対処策について,全部取得条項付種類株式の全部取得の対価として別の種類の株式を発行・交付することが,発行開示が要求される「有価証券の募集」にあたるとする解釈の可能性も含めて,検討した。こうした検討作業は,主に研究代表者である久保田が担当した。 また,平成26年度において,研究分担者である尾崎は,どのような場合に情報開示規制が必要なのか(どのような場合に情報開示規制が正当化されるのか)という問題を検討した。こうした尾崎の研究は,上記のような発行開示が要求される「有価証券の募集」の意義の再検討作業と重要な関係を有するため,久保田と尾崎は,2回の研究打合せを実施して,お互いの研究成果のフィードバックを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究の概要」に記載したような検討作業を進めるとともに,その成果を発表する準備も行うことができているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,平成26年度に行った研究を継続する一方で,金融商品取引法24条1項3号の政策的合理性を検証するための研究にも着手することにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に研究打合せを予定し,そのための旅費を確保していたが,当該研究打合せが急遽中止になったため,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究打合せ,および研究発表のための旅費,並びに,研究の遂行に必要な物品の購入を行う。
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