最終年度である平成29年度は、前年度までに行った研究成果を踏まえ共同研究を継続するとともに、国際的な企業保険に関する研究及び技術の発展により生じることが見込まれるリスクと保険の関係に関する研究を行った。具体的には以下の通りである。 第一に、継続中の経済学及び実務の見地を取り入れた共同研究を進めた。この研究は、共同研究者によってAPRIA(Asia-Pacific Risk and Insurance Association)のAnnual Conferenceにおいて報告された。また、これまでに報告した研究成果について論文の形での公刊準備を進めるとともに、新しいテーマで研究を進めている。 第二に、国際的な企業保険に関する研究を開始した。国際的な事業活動を行う企業が必要とする保険商品の設計や付保に伴う問題を分析し、企業のグローバルなリスクマネジメントにおける国内外の規制の現状とその問題点及び企業保険の供給者サイドの対応等について研究を行った。 第三に、技術の発展に伴う新種のリスクについての研究を開始した。サイバーリスク・自動運転等の技術の発展に関する現状やその将来像の把握を行うとともに、これらがもたらすリスクの特徴とこれを保険で担保する場合の問題点等に関する研究を行った。 第二及び第三の点については、平成29年度中に研究成果を公表するには至らなかったが、本研究課題に基づく研究成果を発展させる基礎となるものである。
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