研究課題/領域番号 |
26380122
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
鶴田 滋 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (90412569)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 必要的共同訴訟 / 訴訟追行権 / 牽制権 |
研究実績の概要 |
平成27年度における研究実績の概要は、次の通りである。 まず、「共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者と遺産確認の訴えの当事者適格」と題する判例研究を行い、平成27年11月に大阪市立大学民法研究会にて報告のうえ、平成28年2月に判例評論684号に公表した。この研究を通じて、共有者の内部紛争における固有必要的共同訴訟の根拠と構造を確認し、合一確定の根拠と、そのための共同訴訟人の訴訟行為の規律について、理解を深めることができた。 次に、「固有必要的共同訴訟における実体適格と訴訟追行権」と題する論文を執筆し、平成27年8月に脱稿した(平成28年4月に、松本博之先生古稀祝賀論文集に公表された)。実体適格概念と訴訟追行権概念がドイツにおいて形成される過程を明らかにすることを通じて、ある訴訟当事者が訴訟追行権を有することは、訴訟当事者が本案について有利にも不利にも訴訟行為をする権能を有することを意味することを明らかにした。固有必要的共同訴訟において合一確定が必要となるのは、共同で訴訟追行権を有する者の1人が訴訟対象を処分することを未然に防止するためであり、そのために各共同訴訟人の訴訟追行権が互いに制約されていることを明らかにした。 最後に、「片面的独立当事者参加の訴訟構造」と題する研究を行い、平成28年1月に関西民事訴訟法研究会にて、報告のうえ、同年2月に脱稿した。ここでは、必要的共同訴訟人間には互いに他の共同訴訟人の訴訟行為を牽制する権能があることを明らかにしたうえで、この規律が、必要的共同訴訟の手続規律が準用される独立当事者参加訴訟において、どのように現れるのかを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主にドイツ法の考察により、必要的共同訴訟における共同訴訟人の訴訟追行権の根拠と内容について、理解を深めることができた。その結果、必要的共同訴訟における合一確定の必要の根拠を知ることができ、さらに、合一確定を実現するための手続規律の具体的内容を理解するための手がかりを得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
日独の必要的共同訴訟や補助参加に関する文献をさらに精読し、必要的共同訴訟における共同訴訟人の訴訟追行権が他の共同訴訟人から制約を受ける根拠と限界を明らかにする。これを明らかにする論文を執筆することにより、当初の研究目標を達成することができる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年3月に、大阪市立大学法学部とフライブルク大学法学部との学術交流シンポジウムに参加・報告するために、旅費を使う予定だったが、シンポジウムが平成28年4月に開催されることになったため、その分の旅費を使用しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年4月に上記シンポジウムに参加・報告したため、そのための旅費に利用する計画である(これを執筆時点においてすでに使用した)。
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