研究実績の概要 |
本研究は、フランス法との比較を通して、わが国における親権制度を批判的に検討し、共同親権制度の導入も含めた新しい親権制度の解釈論および立法案の方向性を検討することを目的とするものである。また、親権制度を検討するにあたって、その周辺に位置する法制度で親権制度と密接に関連し、とりわけわが国では再構成家族において継親の親権行使のためになされることの多い養子縁組制度についても検討することを目的とする。 上記の目的において、平成27年度は、親権制度およびその周辺の制度である養子制度について、フランスの制度を研究する予定にしていた。上半期においては、親権制度の一部である面会交流について、次のような成果を公表した。「父母別居中の子との面会交流の具体的定め方と費用負担」民商法雑誌150巻1号163-170頁(2015年4月)、「面会交流と間接強制」私法判例リマークス51号72-75頁(2015年7月)、「立法紹介―面会場の認可と運営および面会場についての裁判官の権限」日仏法学28号174-178頁(日仏学会、2015年8月)。下半期においては、当該研究の比較法の対象国であるフランスのリヨン第三大学およびその大学に付属の家族法研究所に客員研究員として所属し、現地で研究活動を行っている。その成果としては、諸研究機関での口頭発表によるもので、次のようなものがある。「日本における非嫡出子の法的問題点についての若干の考察」(平成27年9月23日)、「L’arret de la Cour supreme, le 17 juillet 2014, sur la filiation paternelle au dehors du mariage」(平成27年10月14日)、「Le droit de visite apres le divorce」(平成28年3月18日)。
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