動態的法認識論を基礎としつつ、「財」と「担保」をめぐる基本概念および法制度に関するフランス法圏(フランス法、ベルギー法、ケベック法)の動向を比較検討しながら研究を進めた。その結果、財およびその活用の多様化が進行する現代取引社会においては、多様な「財」によってもたらされる「効用」の分配を秩序化することが求められているという点が解明できた。さらに、ベルギー法およびケベック法は、フランス法圏でありながら、コモン・ローや統一法(UNCITRALなど)の影響を受けて、独自の担保法制を展開している点が、今後のわが国の財産法制のあり方にとり、多くの比較法的示唆を提供するものであることが明らかとなった。
|